国内希少野生動植物種に指定されているホロテンナンショウの自生地調査を行い生息状等を調べました。
〇ホロテンナンショウとは
サトイモ科の多年草で、草原から林の縁、林内や沢沿いの湿った岩場に好んで生えています。
日本の固有種で、似た仲間が日本には50種ほどありますが、ホロテンナンショウは紀伊半島のごく限られた地域にしか生えていません。

春になると地下にある芋から芽を出し、葉の展開と同時に花を咲かせます。雄花と雌花は別々の株につき、体の大きさで株の雌雄が変わります。

株の雌雄は花を見ればわかりますが、花は葉が変形した「苞」ですっぽり包まれているため苞を開いてみないと確認することは難しい。(写真は雄花です。)

苞は縦じまが入った頭巾状で、先端は糸のように長く伸びます。頭巾のように膨らんだ苞の形を、車や馬車などを覆う幌(ほろ)や武士が矢を防ぐために背に膨らませた母衣(ほろ)に見立ててその名があります。
〇調査でわかったこと
・光条件が良い登山道や林道脇に出現しやすい。そのため盗掘被害に遭いやすく調査期間中にも踏みつけ被害や盗掘被害を確認しました。
・崩落の恐れや、不法投棄による埋没の恐れがある場所にも自生していた。
・草食動物によると思われる食害が散見された。
・春から秋までの気温を観測したところ、夏の最高気温の平均は25℃前後で、30℃を超えたのは数日しかありませんでした。
また、夏の最低気温は20度前後と涼しいことがわかり、栽培するうえで参考になるデータを見ることができました。